忘れられない女（ひと）

金賢姫（キム・ヒョンヒ）さんが拉致被害者の田口八重子さんのお兄さんと息子さんとの面会を果たされたことは記憶に新しい。
その時度々紹介されていたのがこの「忘れられない女（ひと）」という金賢姫さんが書いた著書の抜粋文。
この忘れられない女というのがどうやら田口八重子さんのことらしく、彼女と暮らした20ヶ月の内容を赤裸々に書き綴られています。







大韓航空が爆破された頃、私はまだ小学低学年でとても衝撃を受けたことを今でも覚えています。
まだスパイだとか工作員だとか言う言葉の意味もわからない頃で、テレビで何度もマスクをした金賢姫が捕らえられた姿が報道され、新聞の一面もその写真だった。


母に簡単には説明をされたが、なぜ日本人に成りすましたのか？
どうしてスパイになったのか？
何の目的で爆破したのか？
疑問が多く、それらを理解するにはまだ幼すぎたし情報もなかった。
最近知ったが、あの大韓航空爆破の目的は韓国のオリンピック開催を阻止することだったらしいですね。
恐ろしい・・・・。


だいたい日本人になりすまして爆破したからと言って、オリンピックがなくなる・・・
なんてことを単純に考えていたことが驚きだ。
この本を読むと結構信じられないと思うような北朝鮮事情が手に取るようにわかります。


あれから21年が過ぎた。
少し前に大韓航空爆破事件のドラマが放送されていて、それまで知らなかった真実を知った。
それを見てから金賢姫という女性に対する気持ちが少し変わった。


彼女は死刑になるはずだったけれど、特赦で死刑を逃れた。
子供の頃はあれだけの人たちを殺したのだから死刑になっても仕方ないね・・・・と思っていたけれど、
今は生きてて良かったと思う。
彼女があれこれと自白してくれたお陰で、これまで知らなかった北朝鮮事情が次々と明らかにされた。
実際北朝鮮から戻ってこれた人たちも何人かいるし、彼女のお陰でもあると思います。


それに女性にとって一番輝くべき時に、工作員として青春時代を捧げた人生を気の毒に思います。
今もなお罪に苦しみながら生きていると思うと本当にかわいそうに思う。


結構考えさせられる一冊でした。
彼女はあと何冊か本を出しているので引き続き読んでみたいなと思っています。


北朝鮮はと言うと、またもやミサイルを発射しようとしている。
一体何を考えているのだろう・・・・。